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感染者急増!“梅毒”の症状と治療方法【医師監修】
梅毒は、「トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)」という細菌によって引き起こされる性感染症です。かつては減少傾向にありましたが、近年、特に若年層を中心に急増しています。
梅毒は、「トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)」という細菌によって引き起こされる性感染症です。かつては減少傾向にありましたが、近年、特に若年層を中心に急増しています。
梅毒は、「トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)」という細菌によって引き起こされる性感染症です。かつては減少傾向にありましたが、近年、特に若年層を中心に急増しています。
厚生労働省が発表した「2022年感染症発生動向調査事業年報」によれば、梅毒の報告数は過去最多を更新。特に20〜30代の女性での増加が顕著です。早期発見と治療によって完治できる病気ですが、放置すると全身に深刻な症状を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
梅毒の症状は、感染後の期間によって大きく変化します。初期は痛みがほとんどなく、「気づかないうちに進行」してしまうことも少なくありません。
ステージ | 時期 | 主な症状 | イメージ |
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第1期 | 感染後3週間前後 |
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第2期 | 感染から6か月以内 |
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潜伏期 | 症状消失後 |
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第3期 | 1年〜 |
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晩期 | 1年~46年 |
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症状が自然に消えることもあり、完治と勘違いしやすいので注意!
性別 | 主な症状部位 | 症状の特徴 | イメージ |
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男性 | 亀頭・包皮・肛門・口腔内 | しこり・潰瘍 | ![]() |
女性 | 小陰唇・膣入口・口腔内 | しこり (自覚症状が少なく、気づかれにくいことも) |
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※コンドームは感染リスクを減らすのに有効ですが、感染部位によっては完全に防げないこともあります。
妊娠中の女性が梅毒に感染していると、胎盤を通じて胎児にも感染する可能性があります。これを「先天梅毒」と呼びます。
※梅毒は妊娠中に必ず検査する疾患のひとつです。妊娠を希望している方は事前の検査も推奨されます。
項目 | 内容 |
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医療機関 | 血液検査を実施(多くは保険適用) |
保健所・自治体 | 匿名・無料で検査可能な場合あり |
梅毒とHIVの同時感染は、医学的にも非常に関連性が高いとされています。セットでの検査を生活習慣の一部にすることが大切です。
理由 | 内容 |
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関連性が強い | 梅毒の病変(しこりや潰瘍など)によって皮膚や粘膜が傷つくと、そこからHIVウイルスが体内に侵入しやすくなる |
感染リスク増加 | 梅毒があるとHIV感染率が2~5倍に上昇 |
無症状でも進行 | HIVも感染初期には自覚症状がないことが多い。発見が遅れるとエイズに進行するリスクがある。 |
現在は、性感染症専門のクリニックやオンラインで検査キットを取り寄せて、自宅で匿名で検査を受けることも可能です。忙しくて通院が難しい方でも、こうしたサービスを活用することで、早期発見・早期治療につながります。
梅毒は正しい知識と日常的な対策によって予防できる性感染症です。感染リスクを下げるには、以下のような具体的な行動が効果的です。
項目 | 解説 |
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コンドームを正しく使用 | 最も基本的な予防方法がコンドームの使用です。性行為時にコンドームを使用することで、粘膜や体液を介した接触を避けることができ、梅毒だけでなくHIVやクラミジアなど他の性感染症の予防にもつながります。 なお、梅毒は性器だけでなく、口や肛門の粘膜からも感染するため、オーラルセックスやアナルセックスでも**コンドームや専用の保護シート(デンタルダム)**を使うことが重要です。 |
不特定多数との性行為を避ける | 感染者の増加とともに、感染経路が多様化しています。とくにマッチングアプリやSNSなどを通じて知り合った相手とのカジュアルな性行為では、相手の感染状況が分からないまま接触するリスクが高まります。可能な限り、不特定多数との性行為は控え、信頼できるパートナーとの関係を大切にしましょう。
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定期的に検査を受ける | 梅毒は自覚症状が出にくく、また出ても自然に消えることがあるため、感染に気づかないまま他人にうつしてしまうケースが少なくありません。そのため、症状がなくても、年に1〜2回は定期的に検査を受ける習慣を持つことが理想的です。とくにパートナーが変わったタイミングや、新たな性行為があった後などは、一度検査を受けておくと安心です。 |
パートナーと一緒に検査 | 性感染症の中でも梅毒は潜伏期間が長く、感染に気づきにくいため、カップルや夫婦で一緒に検査を受けることがとても大切です。片方だけが検査を受けても、もう一方が感染していればピンポン感染(再感染)を繰り返してしまう可能性があります。検査を一緒に受けることは、お互いの健康を守るだけでなく、信頼関係を深めるきっかけにもなります。 |
高品質なコンドームの使用で予防意識を高める | 予防の基本であるコンドームも、自分に合った使いやすいものを選ぶことが大切です。使用感が不快だったり、装着に手間がかかったりすると、途中で使わなくなってしまうケースもあります。
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誤解です。梅毒は早期に治療すれば、完全に治すことができます。適切な抗生物質による治療を受ければ、体内の菌は完全に排除されます。
自然に治ったように見えても、体内の菌は残っています。一時的に症状が消えても、数か月〜数年後に再発し、深刻な症状を引き起こす可能性があるため、必ず治療を受けてください。
自然に治ったように見えても、体内の菌は残っています。一時的に症状が消えても、数か月〜数年後に再発し、深刻な症状を引き起こす可能性があるため、必ず治療を受けてください。
梅毒の治療が終了し、血液検査で陰性が確認された後であれば、性行為の再開が可能です。途中で再開すると、パートナーへの感染や再発のリスクがあるため、医師の確認を得てからが基本です。
梅毒には自然免疫ができません。つまり、何度でも再感染の可能性があります。一度治ったからといって油断せず、引き続き予防・検査を続けることが重要です。
医師。東京工業大学在籍後、直接人の役に立ちたいと医学の道を志し、2012年に日本医科大学医学部に入学。2018年に同大学卒業。医師免許取得後、会津中央病院での臨床研修を経て、日本医科大学武蔵小杉病院勤務で泌尿器科を学ぶ。その後、水道橋スクエアクリニック勤務で皮膚科診療を経験し、2024年より皮膚・泌尿器科領域での性感染症内科ペアライフクリニック勤務。現在に至る。
横浜院/渋谷院/名古屋院/札幌院/大阪梅田院(2025/6/14開院)
性感染症専門の医療機関。相談しづらい性の悩みに寄り添って、「プライバシーへの配慮」「専門性の高さ」「通いやすさ」を追求した診療をおこなっている。院内はプライバシーを配慮した動線、完全個室の待合室など、安心して来院できる環境。